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パミール屋根の塗装は逆効果?屋根寿命を守る正しい対処法!
2025.8.22
老朽化した屋根は、家の寿命を縮めるだけでなく、住む人の安心安全にも直結します。
特に、築年数の経過した住宅では、屋根材の劣化によるトラブルが懸念されます。
今回は、屋根材の中でもパミール屋根に焦点を当て、その劣化メカニズムと予防策について探ります。
適切な知識と対策によって、安心して暮らせる住まいを守りましょう。
屋根のトラブルは、早期発見と適切な対処が重要です。

パミール屋根の構造と特性
パミール屋根の断面構造
パミール屋根は、セメント質のスレート屋根材の一種です。
一般的なスレート屋根と同様、下地となる野地板の上にルーフィング(防水シート)を張り、その上に屋根材が固定されています。
野地板の種類は、構造用合板や、より耐久性の高いLVL(Laminated Veneer Lumber)などが使用されます。
ルーフィングは、アスファルトルーフィングや、高性能なゴム系ルーフィングなど様々な種類があり、それぞれの性能や価格によって選択されます。
パミール特有の構造として、複数の薄い層を圧縮して作られたミルフィーユ状の構造が挙げられます。
この構造は、一見すると強度を増すように見えますが、後述するように、劣化の原因にもなり得ます。
屋根材は、通常、専用の釘で下地に固定されています。
釘の種類や打ち込み方によっても、屋根の寿命に影響を与えるため、適切な施工が重要です。
例えば、ステンレス製の釘を使用することで、腐食による劣化を抑制できます。
屋根材の素材と特徴
パミールは、アスベストを含まないノンアスベストのスレートとして、1996年から2008年にかけて、旭ファイバーグラス株式会社によって製造・販売されていました。
軽量で、比較的施工が容易な点が特徴でした。
そのため、既存の屋根材を撤去せずに重ね葺きできる場合もあり、工期短縮やコスト削減に繋がることが期待されました。
しかし、製造方法に起因する問題点が後に明らかになり、現在では製造中止となっています。
その製造方法は、複数の薄いセメント層を圧縮する「抄造法」と呼ばれるものでした。
この抄造法は、セメントペーストと繊維を混合したスラリーを、連続的に抄紙機に通してシート状に成形し、それを重ねて圧縮する製法です。
この抄造法が、後述するミルフィーユ状剥離という特有の劣化を引き起こす要因の一つとなっています。
パミールの厚さは、一般的なセメントスレートと比較して薄く、そのため、衝撃や外力に対して脆弱であるという側面もありました。
パミール屋根の耐候性
パミールは、当初は優れた耐候性を謳って販売されていましたが、実際には短期間で劣化が進行することが判明しました。
これは、製造方法や材料の選定、特にセメントの種類や配合比率に問題があったと考えられています。
また、製造時の品質管理にも課題があった可能性が指摘されています。
特に、雨水の浸入による劣化が顕著で、長期間にわたる耐久性を確保することが困難です。
例えば、台風や豪雨による強い雨水の吹き込みは、パミール屋根材の劣化を加速させる要因となります。
そのため、一般的なスレート屋根と比較して、耐候性は著しく低く、10年程度で目に見える劣化が始まるケースも少なくありませんでした。
パミール屋根の劣化メカニズム
ミルフィーユ状剥離の原因
パミール屋根の最も顕著な劣化症状は、「ミルフィーユ状剥離」です。
これは、屋根材の薄い層が、まるでミルフィーユのように一枚ずつ剥がれていく現象です。
その原因として、抄造法による層状構造、各層間の結合力の弱さ、そして水分の浸入が挙げられます。
各層の間に水が浸入しやすく、凍結融解を繰り返すことで、層間の結合力が弱まり、剥離が進行します。
特に、雪国地域では、冬場の凍結融解が繰り返されるため、劣化が顕著に現れやすいと言えます。
また、紫外線による劣化も、剥離を促進する要因となります。
紫外線はセメント成分の劣化を引き起こし、層間の結合力を弱めます。
雨水の浸入経路としては、釘穴からの浸入や、屋根材同士の繋ぎ目からの浸入などが考えられます。
塗装の劣化と影響
パミール屋根は、ミルフィーユ状剥離が進行するため、塗装による保護は非常に困難です。
塗装を施しても、下地の剥離が進むと、塗膜も一緒に剥がれてしまいます。
まるで、土台が崩れると壁も一緒に崩れるようなものです。
そのため、塗装は費用対効果が低く、かえって剥がれた塗膜が雨水の浸入経路となり、劣化を促進する可能性があります。
塗装による保護は期待できません。
既存の塗装が剥がれてきた状態では、新たな塗装を施しても効果は限定的です。
経年劣化による影響
経年劣化によって、パミール屋根は様々な問題を引き起こします。
ミルフィーユ状剥離に加え、ひび割れ、反り、釘の腐食、藻やコケの繁殖なども発生します。
これらの劣化は、雨漏りの原因となり、建物の構造体、特に小屋裏の断熱材や木材を腐食させ、シロアリ被害などを招く可能性があります。
雨漏りは、天井や壁へのしみ、クロスや壁紙の剥がれ、カビの発生など、室内環境にも深刻な影響を与えます。
ひどい場合は、屋根材の落下による事故の危険性も高まります。
落下した屋根材は、人や物に怪我や損害を与える可能性があるため、危険な状態です。
パミール屋根の適切なメンテナンス
定期的な点検と清掃
パミール屋根は、定期的な点検と清掃が不可欠です。
最低でも年1回、できれば春と秋の2回、点検を行うことをお勧めします。
特に、雨漏り、屋根材の剥がれ、釘の腐食、ひび割れ、反り、藻やコケの繁殖がないか注意深く確認する必要があります。
専門業者に依頼して、ドローンや高所作業車などを用いた高所からの点検を行うのが安全です。
清掃は、高圧洗浄機などを使用し、苔や藻などの付着物を除去します。
高圧洗浄を行う際は、屋根材への負担を考慮し、適切な圧力と距離で行う必要があります。
塗装による保護
前述の通り、パミール屋根への塗装は効果が期待できません。
塗装によって一時的に外観を改善できる場合もありますが、根本的な劣化を防ぐことはできません。
むしろ、剥がれた塗膜が劣化を促進する可能性も考慮する必要があります。
塗装費用をかけたとしても、効果が薄いばかりか、かえって悪化させる可能性もあるため、費用対効果の観点から、塗装は推奨されません。
早期発見と対処
パミール屋根の劣化は、初期段階では目立たない場合があります。
しかし、早期発見と適切な対処が、被害拡大を防ぐために非常に重要です。
定期的な点検で、小さな異常にも気づき、早急に専門業者に相談しましょう。
雨漏りが発生してからでは、修理費用が高額になるだけでなく、建物への被害も拡大している可能性が高いため、早期対応が重要です。
例えば、小さなひび割れを放置すると、そこから雨水が浸入し、ミルフィーユ状剥離を加速させる可能性があります。
パミール屋根の予防策と対策
適切な換気システム
屋根裏の適切な換気は、湿気対策に有効です。
湿気がこもると、屋根材の劣化を促進します。
屋根裏に換気口を設置したり、既存の換気口の清掃や点検を行うことで、湿気による劣化を防ぎます。
換気口の数は、屋根面積や小屋裏の形状によって異なります。
適切な換気量を確保するためには、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
雨漏り対策
雨漏りは、建物の構造体や内装に深刻な被害をもたらします。
定期的な点検で雨漏りを早期に発見し、適切な修理を行うことが重要です。
雨漏りの原因は、屋根材の劣化以外にも、棟板金や谷板金の破損、雨樋の詰まりなど様々ですので、専門業者に原因究明と適切な修理を依頼しましょう。
雨漏りの修理には、部分的な補修から、大規模な葺き替えまで、様々な方法があります。
周辺環境の影響軽減
周辺環境も、屋根の劣化に影響を与えます。
例えば、樹木の枝が屋根に接触することで、屋根材が傷つきやすくなります。
定期的に樹木の剪定を行うなど、周辺環境の整備も、屋根の劣化防止に役立ちます。
また、近隣の建物からの飛来物や、鳥の糞なども屋根材を傷つける可能性があるため、注意が必要です。

まとめ
パミール屋根は、製造中止となった特定の屋根材で、ミルフィーユ状剥離という特有の劣化を起こしやすい点が特徴です。
そのため、一般的なスレート屋根とは異なり、塗装によるメンテナンスは効果が期待できません。
適切なメンテナンスとしては、カバー工法(既存の屋根材の上に新しい屋根材を被せる方法)や葺き替え工事(既存の屋根材を全て撤去して新しい屋根材を葺き替える方法)が挙げられます。
カバー工法は、葺き替え工事に比べて費用を抑えられるメリットがありますが、屋根の勾配や既存屋根の状態によっては、施工が困難な場合があります。
葺き替え工事は、高価ですが、最も確実な方法です。
定期的な点検と、早期発見、適切な対処が重要です。
劣化が進む前に、専門業者に相談し、建物の状態を正確に把握した上で、カバー工法、葺き替え工事、あるいは部分的な修理など、最適な対策を講じることで、住宅の寿命を延ばし、安全な暮らしを守りましょう。
建物の状態を正確に把握し、最適なメンテナンス計画を立てることが大切です。
当社では、西宮市周辺で累計500件以上の施工実績を基に、高品質な塗装工事を提供しております。
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